髪型や服装の規定はあるのですか?

茶髪禁止とか、服装や髪型に関する規定はあるのですか? 合宿中は軍隊式の厳しい規律で行われるものなのですか?

T.P.O.に応じた服装と髪型を。


 私たちは、大学という最高学府に帰属する体育会という組織ですから、思春期の中高生にありがちな、敢えて周囲に不快感を与えることでカタルシスを得ようとするような偽悪的な服装や髪型を許容しません。それは価値観云々というような高次の事案ではなく、ただ単に礼儀や礼節といった常識に根ざすレベルの話ですが、このところ常識という概念そのものが揺らぎつつある状況でもありますので、これについても多少の説明が必要でしょう。
 社会にはドレスコードという概念があり、それぞれの場に相応しい服装や髪型というものが存在します。それらは常に明文化されているわけではありませんが、いちいち言われなくともT.P.O.(時・場所・場合を意味する、明治大学OBでVAN創始者である石津謙介さんの造語)に合わせた装いをすることは、社会人としての素養の一つです。
 ひょっとすると、西海岸のヒップホップパーティにプレッピーな格好で行ったら、袋叩きに遭うかもしれません。ラッパーにはラッパーの、サーファーにはサーファーの、セーラーにはセーラーの価値観や好まれるファッションがあるということです。多様な価値観を認め合うということは、それぞれの集団が大切に思う価値観を尊重し、郷に入れば郷に従うことであり、自分の価値観をごり押しすることではないはずです。
 西欧発祥のセーリングという文化は、王室や貴族などエスタブリッシュメントの間で発展してきたという歴史的経緯から、多分にコンサバティヴな色彩が強く、日本においてもそうした価値観は踏襲されています。ちょっと小難しい話になってしまいましたが、要するに、セーリングを楽しんでいる人たちは、そうしたセーリングに付随する雰囲気や文化が好きであり、大切にしてきたということです。日本の大学ヨット界も半世紀を超える歴史の中で、オリジナルの文化と価値観を醸成してきました。諸先輩方が連綿と織りなしてきた歴史の上に、後から加わるメンバーとして、そこにある価値観を尊重することは最低限のマナーではないでしょうか? 価値観も時代によって移ろい行くものではありますが、それは緩やかに変わっていくべきものでしょう。

合宿では規律を重んじます。


 軍隊式とは具体的にどういう状態を指すことなのかわかりませんが、体育会が競技において勝利を目指す戦闘集団である以上、勝利を勝ち取るために合理的なシステムが軍隊式と呼ばれるものであるとするなら、私たちは軍隊式であることも厭いません。
 規則正しい生活の中で、肉体と精神を健全な状態に保つことは、競技に向かうアスリートとして当然の姿です。規則正しく、ちょっぴり厳しい規律の中でともに生活することで、他人だったはずの部員が、チームとして一丸になっていく。もちろん、その過程の中では様々な衝突や齟齬が生じるでしょうが、最終的に一つのチームに収斂していく流れの中に身を置くという経験は、なかなかに感動的なものです。
 もし、全くの他人同士が一つ屋根の下で生活していくという合宿生活において何らの規律が存在しなかったとしたら、そこは無秩序な空間となり、互いの権利を侵害し合う殺伐としたものとなってしまうでしょう。各々の部員の権利やプライバシーを守るためにも、合宿生活には少々厳しいくらいの規律が必要なのです。